実質利回り(3)マンションの事例
物件賃貸時の諸費用について
毎年引かれていくものにはどのようなものがあるか。
管理費・修繕積立金
これはマンションの区分所有を購入した場合に掛かる費用です。
逆にいうと一棟ものを購入した場合は管理費・修繕積立金は一切掛かりません。
これら管理費や修繕積立金の額はマンションの区分所有の場合、管理組合が部屋ごとに割り当てを決めています。
なのでこちらについては節約することはできません。
一方で一棟ものの場合は、管理組合が存在しないので、管理費・修繕積立金という概念は存在しません。
では広告例でチェックしてみましょう。
物件名《コーポ登戸》
小田急線・JR「登戸」駅徒歩3分
価格650万円
ワンルーム
31.38u
築25年
管理費月5000円(修繕積立金含む)
※自主管理による
こちらの物件はワンルームとしては広めですね。
管理費・修繕積立金は5000円となっています。
この管理費・修繕積立金5000円は高いと思いますか?
実はこの5000円というのは破格の安さです。
なぜなら、ワンルームマンションの管理費・修繕積立金の相場は10000円と言われているからです。
しかし、なぜこんなに安いのか気になりますよね。
でも、もうお気づきかも知れません。
答えは管理形態にあります。
広告に「自主管理による」と謳っていますよね。
自主管理とは、管理会社を特に選ばず入居者全員で話し合って管理費・修繕積立金を決めることです。
当然、管理会社が関与していないので管理コストは削減され、広告「コーポ登戸」の管理費・修繕積立金は5000円に抑えられています。
この点、投資家としてはプラスになりますが喜んでばかりはいられません。
それは、自主管理の場合、多くのマンションの住民たちが自主管理をやると言っておきながら、結局何もやらないという事態に陥るからです。
その結果、管理が滞ることによっていわゆるスラム化に繋がり、物件がボロボロになる可能性を秘めています。
残念ながら、広告の「コーポ登戸」はスラム化マンションに発展する可能性のある典型例となります。
たとえば、20年間管理もいい加減で、修繕も一度もやってなければボロボロになっていくのは目に見えています。
また、マンション全体の修繕積立金は全体で数十万円しか積み立てされていないとなれば、大規模修繕など到底無理です。
その結果、マンションのエレベーターが何度も故障したり、物件の外壁が剥がれたり、錆が浮いていたりと、とても投資には向きません。
だからこそ「コーポ登戸」の管理費・修繕積立金は5000円となっていると考えることができます。
多くの投資家はこのような物件広告を見て購入したいとは考えません。
しかし、自分が住むわけではありませんよね。
数字の計算結果で納得いくのであれば購入しても構わないと思いませんか?
あなたが考えることは、家賃を調べ、表面利回りを計算して利回りが高い物件であれば目をつぶって購入するということです。
広告のボロボロ物件である「コーポ登戸」について650万円では高すぎるとして交渉の上、価格を下げさせて購入するという手段も考えるべきです。
たとえば、誰も購入しないので650万円が250万円となればどうしますか。
私なら即購入します。
で、250万円で購入して何が起きるかというと、表面利回りが高くなって25%になります。
当然のことながら25%となれば投資家は全員が欲しがるので売却するときにはすぐに売れます。老朽化してボロボロでも関係ありません。
もちろんこれは実際にあった事例です。
ボロボロ物件だからといっても安易に見過ごすことはできないのです。
次回、もう一件見てみましょう。